取締役会長 西田順生
【1958年】 石川県に生まれる
【1981年】 神奈川大学工学部工業経営科を卒業
【1981年~1996年】 (株)村田製作所グループ((株)金沢村田製作所・(株)小松村田製作所)を経て、(株)ナナオで勤務
【1995年】 技術士(経営工学部門)に合格
【1996年】 西田技術士事務所を設立、全国でコンサルティング活動を開始
【2004年】 株式会社 西田経営技術士事務所へ改組し、東京都へ本社を移転。現在に至る。
【2023年】 取締役会長に就任。
セミナー講師実績
- みずほ総合研究所…14回
- 日本経営合理化協会…22回
- 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)…28回
- その他大手、官公庁…27回
- 自社主催…69回
科学的管理との出会い
「科学的管理を実践すれば、もっとラクに工場経営ができるのに・・・」
しかしほとんどの中小企業が実行に移していませんでした。私はなぜ、このような簡単なことを多くの企業が実践していないのか、すごく不思議なのです。
私は今から約40年以上前、大学の講義で「科学的管理」という言葉に出会いました。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、“経営工学の祖”F・Wテイラーという方が、1911年「科学的管理法の原理」と言う著書で、標準時間や動作分析、能率といった理論について述べられたのです。
「この世の中に、このような理論があるのだ。この理論を実践してみたいな。」と、学生ながらそう思ったことを今でも記憶しております。
それから4年後、その言葉と運命的な再会を果たしました。
就職した(株)村田製作所グループの「社是(技術を練磨し、科学的管理を実践し、…略)」にその言葉があったのです。それを全員で唱和した時、身震いしたことを今でも忘れていません。
私はそれ以来「科学的管理(経営工学、生産管理)」に魅了され、現場体験を積み、さらに経営工学部門の技術士となるべく勉強を重ねてきました。そして今、そのノウハウを多くの企業でお教えしているのです。
(ご参考:科学的管理、経営工学、生産管理の3つの言葉は、厳密にいうとそれらの定義は異なるのですが、同意語として理解して頂いて差し支えありません。)
守備は最大の武器。
ハンドボールから学んだこと
中学生までは、野球少年だった。だからといって、高校でも野球を続けて甲子園を目指そうなんて気はなかった。人と同じことをして、頂点に立てるとは思わなかったからだ。
そんなとき、出会ったのがハンドボールだった。
あのスピード感、シュートの醍醐味、コートの上の格闘技といわれる“やんちゃくささ”に、たちまち夢中になった。
ボールがたったの2つ。ゆがんだゴール。空き地にコートを作って、たった8人の友の会からはじめた高校でのクラブ活動。それがみるみる上達して、石川県大会で2回優勝。ついにはインターハイ行きのキップを手にした。
ビックリした学校は、 “部”として承認し、壮行会まで開いてくれた。主将である私は壇上で“出陣の言葉”を口にした。
どれほど価値のあることなのか、当時はわからなかった。おとなになって、人に話してみて、どうやらスゴイことをしたらしいと気づかされた。
今も、誇らしく思える私の人生の勲章。
ただ、レアものスポーツの悲しさ。話題にするたびに、「サッカーを手でやるようなもので…」から説明しなければならないのが、もどかしいところだけれど。
それはともかく、「がんばれば夢はかなう」ということを教えてくれたのは、ボランティアでコーチして下さった近隣にある中学校の女子ハンドボール部顧問:井川邦彦先生だった。
先生はおとなになった今でも役に立っている、大切な教えを授けてくれた。
「まず守りを固めろ。守備を徹底的にやれ。
ディフェンスさえしっかりやれば、勝てるんだ。
守りでは、絶対に休むな。疲れたら攻める時に休め。
そのこぼれ玉を拾って、すぐ速攻に移るんだ。
真剣に守って、相手のミスを待つんだ。
すると、必ずチャンスはやってくる。」
防御を最大の武器とする、井川邦彦先生の戦術。指導どおりに、私たちは練習を重ね、ぐんぐん強くなっていった。簡単には打ち破れない、鉄壁のディフェンスを完成させた。
この教えが、そのまま経営に通じるのに気づいたのは、いつだったろう。技術士という立場からいろいろな会社を知り、“守り”のできない企業の多さに驚かされた。
経営者はみな、攻撃=単純な規模の拡大ばかりに熱中して、守り=いかにして効率よく経営していくかについては目の端にも止めていない。
ザルで水をすくうような経営している企業が、あまりにも多すぎる。特に原価計算と値決めに問題が多い。
このような会社に対しては、私はたいていこう切り出す。
「社長、営業利益率は15%以上ありますか?」
“守り”の大切さを伝えたくて、経営者向けのセミナーで、私はよくスポーツの話をする。
「9回が終わって、30対28で勝つのと3対1で勝つのと、どっちがラクですか?」
と、野球にたとえる。
ハンドボールの話でないところが、もどかしいところではあるのだけれど。